好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】


「涙雨ちゃんが?」
 

真紅が黒藤の方を振り返ると、ぽんっと、空中に紫色の小鳥が現れた。


黒藤の三の式で、鳥の姿の妖異の涙雨だ。


真紅には紫色に見えるのだが、一般人には黒い小鳥にしか見えないらしい。


「涙雨、あの親猫の気配がある家を見つけて来てくれるか?」


『承知した。今いっとき、時間をいただくぞ』
 

黒藤に応えて、紫色の小鳥は縁側から出て行った。


「その三毛猫が飼い猫なら、その家にはそいつのいた名残があるはずだ。涙雨が見つけてくれる。けど、見つからなかったら……どうする? 真紅が飼い主になるか? 白は無理だ――


「俺が飼いたい!」


「部屋にも入れない猫アレルギーなんだろ、駄目。白の健康を害する」
 

普段は白桜にダダ甘い黒藤が、ぴしゃりと言った。

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