好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
「白がちびの頃迷い込んで来た猫に触って全身に発疹(ほっしん)が出来たとき、大変だったの忘れたわけじゃねえよな?」
「うっ……」
黒藤の鋭い瞳に、白桜は黙り込んだ。
「黒ちゃん、何あったの?」
全身に発疹とは、相当な猫アレルギーのようだ。
それで猫が大すきって……哀しいかな。
「白里(しろさと)じいさん――白の祖父が、どこの呪詛(じゅそ)かって騒いで一族総出で祈祷(きとう)大会だよ。いつも傍にいた俺まで疑われるし。
結局猫のアレルギーだってわかって落ち着いたけど、以来御門の家では白に猫は近づけられない暗黙の了解が出来た」
「………」
い、一族総出って……。
大派閥の御門の家でそんなことがあったなんて……。