好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
「母上」
黒藤が顔をあげると、紅緒は複雑そうな顔をしていた。
「白桃にはそのようなことはなかったはずですが……遺伝とはわからないものですね」
感慨深げに紅緒が呟くと、黒藤は何故か目を糸目にした。
真紅は黒藤の表情の意味をはかりかねて首を傾げた。
白桜関連の話だったらいつも突っ込んでいくのに。
「紅緒様、母様とはご友人だったのですよね?」
白桜が縁側の下から、目から上だけを覗かせて言った。
恐らく膝を抱えたままなのだろう。なんかそんな妖怪がいそうだな、と真紅はひそかに思った。
「ええ。幼馴染ですね」
紅緒と紅亜が茶器の準備をするのを、真紅は駆け寄って手伝う。
「母様ってどんなお方だったんですか? 俺、伝聞でしか知ること出来ませんから」
真紅は、はっと手が止まった。