好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】


白桜の母、御門の直系だった白桃は、白桜が生まれて間もなく儚(はかな)くなっているそうだ。
 

紅緒は思い返すように中空を見つめた。


「白桃は、そうですねえ……。ぱっと見は深窓の令嬢といった感じでしたが、結構な行動力がありましたね。わたくしが止めるのも聞かずに、修行でも使わないような深い山に入ったと思ったら鬼神を連れて帰ってきたり」
 

天音のことか。
 

白桜が一の式、天音はかつて『鬼神(きじん)』と呼ばれていたそうだ。


妖異の類(たぐい)でありながら、神と並び称されるほどの強者だった。
 

真紅は、どういう経緯で天音が白桜の式となったかは知らないが、天音が『姫』と呼ぶのが白桃であることは知っていた。

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