好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
夜の帳(とばり)を外に、縁側に並んで腰を下ろしている。
黒藤は片膝を立てて頬杖をついた。
「真紅も、俺にも母上にも総ては話しちゃいねーな。でも、なんとなくわかる。
……真紅には、生きた回数分の記憶がある。それは死んだ回数だけ記憶があるってことだ。
恐らく、『死んだ記憶』も持っている」
黒藤は語調も変えずに語る。白桜は片目を細めた。
「――……それが、過去の転生が耐えられなかった『記憶』か……」
「ほかにもあると思うけど、一般的に耐え難いのは『死』だ。自分が何回も死ぬ。
……陰陽師という特殊性のために、逆恨みされて殺された記憶もあるかもしれない。
……その上に、今の真紅は立っている。そういう意味で、強いメンタルしてるって言ったんだ」