好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】


紅姫自身が言った、というのも理由ではあるが、真紅は紅姫が傍にいてくれると嬉しかった。
 

もう逢えないと思っていた。自分を頼って来た命。


でも、紅姫は真紅のところに帰って来てくれた。――そう、帰ってきたのだ。
 

妖異、霊獣の状態の紅姫をこの世に留め置くには、楔(くさび)が必要だ。


真紅の式、という立場は、それに敵うはず。


「―――」
 

それまで光の速度でシャッターを切りまくっていた紅緒がそっと腕を下げた。


「紅姫を、式にですか」


「はい」


「真紅、それはわたくしの了解がいりますか?」

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