好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
10 みう
真紅は知っている。
何故『始祖の転生』と呼ばれる魂があるか。
始祖の転生とは、そもそもなんであるか。
なんのために、生まれ変わり続けるのか――。
力を取り戻し過去世の記憶が芽生えた真紅は、総てを知った。
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目覚めた真紅は、のろのろとした動作で身体を起こしてから、枕元の二つのカゴを見た。
一つは式となった紅姫のもの。
もう一つは、変わらず真紅の傍にいてくれる涙雨のもの。
二基の仲は良好で、涙雨が真紅の右肩、紅姫が左肩によくいる。
両方とも重さを感じないから問題ないが、触覚は有効なのか、しょうじきくすぐったい。
ぐっすり寝ている二基を見て、真紅は顔をほころばせた。可愛い……。
紅姫が来た日に見た夢は、あの一度きりだ。