好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
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「真紅っ」
病棟のデイルームにいた海雨が、真紅を見つけるなり大きく手を振った。
小さな大声というやつだ。
真紅が足を速めると、海雨との間にすっと立つ影があった。
痩身(そうしん)の青年を見て、真紅は息を詰まらせた。
威嚇(いかく)の瞳で見て来るのは、小埜澪(おの みお)。
小埜家の孫で黎にとっては幼馴染のような存在で――黎の、血液提供者だった人だ。
中性的な面差しの澪と、小埜家当主である古人の命でほぼ一緒にいたものだから、付き合っているとよくからかわれた、と黎が遠い目をして教えてくれたことがある。
しかし双方恋愛対象は女性なので、そういうのはまるっと無視していたらしい。