好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】


「黎ならいませんよ?」


「あ、今日は海雨に逢いに――」


「黎より梨実さん優先ですか。それは重畳(ちょうじょう)ですね」
 

澪から一方的にバチバチした視線を受けていると、海雨が真紅の腕に飛びついてきた。


「だって黎さんよりあたしのが真紅と長いもんねーっ。澪さんお話してくれてありがとっ。部屋行こ!」


「あ、うん……」
 

海雨に引っ張られて、真紅は海雨の病室まで入った。


窓際のベッドに並んで腰かける。


「ごめん、海雨……」


「いいのいいの。って言うか、そろそろ言い返したら? おうちのことがあっても、黎さんの彼女は真紅でしょ?」


「うん……」
 

真紅が話したから、影小路の家のことや、小埜家のことも海雨は知っている。

< 217 / 327 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop