好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
「黎ならいませんよ?」
「あ、今日は海雨に逢いに――」
「黎より梨実さん優先ですか。それは重畳(ちょうじょう)ですね」
澪から一方的にバチバチした視線を受けていると、海雨が真紅の腕に飛びついてきた。
「だって黎さんよりあたしのが真紅と長いもんねーっ。澪さんお話してくれてありがとっ。部屋行こ!」
「あ、うん……」
海雨に引っ張られて、真紅は海雨の病室まで入った。
窓際のベッドに並んで腰かける。
「ごめん、海雨……」
「いいのいいの。って言うか、そろそろ言い返したら? おうちのことがあっても、黎さんの彼女は真紅でしょ?」
「うん……」
真紅が話したから、影小路の家のことや、小埜家のことも海雨は知っている。