好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
海雨は背中の後ろに手をついて、スリッパにつっかけた足をぶらぶらさせた。
「澪さん、普段はふつーにいい人なんだけどね。真紅がトラウマ刺激しちゃった感じなのかな」
「それが申し訳なくて言い返せない……」
真紅ははじめから持っていたけど、澪は最初から持っていない。
澪がそれを気にしていることは、真紅も黎から聞いている。
父である嗣が術師としての力を持っていなかったから、孫である澪にかかっていた期待は大きかった。
けれど、澪も嗣と同じで。
その現実を受け容れて、もう一つの稼業である病院を継ぐために医大生になってから、急に真紅が現れた。
……ショックは大きかっただろう。