好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】


「……あ?」
 

胡乱に白桜が見上げると、ふと黒藤が柔らかい笑みを見せた。


「俺が居るのは白のとこだけだ。白にいらねえって言われても居るからよ」


「………」
 

白桜の視線を俯く。
 

真実(まこと)は女性であっても、男としてしか生きることの出来ない自分。
 

その理由がないと、生まれて来られなかった自分。
 

母が、未来と引き換えに遺したこの命。
 

御門流が当主を務めるより難題な、この命の生き方。


父の、母の死の上に立って生きる。
 

黒藤が、何気ない風に呟いた。


「俺なー、白がいなきゃダメなんだよ」


「だから、そういうこと言うからお前は――


「白が傍にいねえと、呼吸(いき)が出来ねえんだ」


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