好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
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小埜家に戻った黎は、玄関先で古人と出くわした。
「じじい、澪は?」
「お? 部屋におろうが。……お前ら、何があったんだ?」
「……なんでもない」
心配そうな顔をする古人を無視して、黎は澪の部屋へ向かう。
「おい。……今頃来たか」
また、澪が机に突っ伏していた。
さっきは平静だったが、ショックが大きすぎて後からじわじわ来たのだろう。
だるそうな動作で、澪の顔が黎の方へ向いた。瞳までよどんでいる。
「あー、れいー。おじょうさんつかまったー?」
欠片も覇気がない。
「喧嘩になった」