好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】


「………」
 

それでも。


「でも俺は、あいつとずっと一緒にいるって決めた。悩んで困ってる真紅を、見てるだけしか出来ないのか……?」


「出来ないよ」
 

澪の言葉は簡単で、怜悧だった。


事実だけを告げる。


「陰陽師のお嬢さんに、黎は何も出来ない。――それを覚悟していないと、お前はお嬢さんの傍に居る資格はないと、俺は思う」
 

反対に、と澪は続ける。


「お嬢さんも、どんなに苦しくてもつらくても、誰も、お前も頼らないって覚悟している。だから今日、お前は突き放された。

でも、お前と付き合っていく意思を変えていない。当主候補のお嬢さんが、反対に遭うことは目に見えていてもお前との将来を望んでいる。

――お嬢さんの方がずっと先に、お前と一緒に居る覚悟を決めてるから、そういうことをしたんだと思う」


「………」
 

陰陽師の、覚悟。


「お嬢さんは、生きていく覚悟をしたんだ。お前と一緒に生きていく、覚悟」

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