好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】


「………」
 

真紅の覚悟を、自分は邪険に出来るか? 


出来るわけがない。


黎は真紅の生き様にも惚れている。真紅の全てに惚れこんでいる。


「一つ、簡単な方法がある」


「………」


「お嬢さんを影小路から攫(さら)ってしまえばいい」


「―――――」


「どこか、影小路の関係しない場所で、二人だけで生きていけばいい。そうなればお嬢さんは、陰陽師として生きていくこともないし、お前に頼ることも甘えることも出来る。お前の父親が、母親を国から連れ出したように。――簡単だろ?」
 

挑発的な澪の言葉に、黎は渋面を作る。


「……それは出来ない」

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