好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】


「白桜様。お茶の替えをお持ちしました。入ってもよろしいですか?」


「あ――ああ。結蓮(ゆいれん)、手間をかけるな」
 

いいえ、と、襖(ふすま)を開けてやってきた少女は、柔らかく微笑んだ。

 
月御門別邸には、主の白桜と幼馴染の百合緋のほかに、三人の家人がいる。


三人とも御門一派の人間なのだが、霊力が弱かったりなかったりと、陰陽師としては生きにくい者たちだ。
 

霊力が弱いことを蔑視されていたと知った白桜は、当主を祖父から継いだ折三人を別邸に呼んだ。


ちょうど別邸の家人も先代・白里について京都の本邸に戻るか残るかという話が出て、ならばと白桜は、別邸の家人を自分でそろえると言い出した。
 

白桜は当主であった祖父とともにそのほとんどを別邸で過ごしていて、京都の本邸に帰るのは大きな用事があったときくらいだ。


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