好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】


《巫女様。今日も海雨様のところへ参りましょう。海雨様から、お話を聞いた方がよいと思います》
 

昨日、海雨の様子が変だった理由。


原因が澪のことだろうとはわかるけど、詳しく何があったのかは知らない。


海雨は頭の整理がついたら話すようなことを言っていたけど、今日逢いに行ったら話せる状態には回復しているだろうか。


「………」
 

昨日真紅は澪に、海雨はあげないと言い切った。


その理由は、真紅は誰にも話したことがない。


今の世にある始祖の転生は、真紅の一人きりだ。
 

始祖の転生だけが知っている、『始祖の転生がいる理由』。
 

カバンを摑む手に力が入る。
 

始祖の転生とは、いわば監督者だ。


これ以上、影小路が罪を重ねないための。


「真紅ちゃん」

< 280 / 327 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop