好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
《巫女様。今日も海雨様のところへ参りましょう。海雨様から、お話を聞いた方がよいと思います》
昨日、海雨の様子が変だった理由。
原因が澪のことだろうとはわかるけど、詳しく何があったのかは知らない。
海雨は頭の整理がついたら話すようなことを言っていたけど、今日逢いに行ったら話せる状態には回復しているだろうか。
「………」
昨日真紅は澪に、海雨はあげないと言い切った。
その理由は、真紅は誰にも話したことがない。
今の世にある始祖の転生は、真紅の一人きりだ。
始祖の転生だけが知っている、『始祖の転生がいる理由』。
カバンを摑む手に力が入る。
始祖の転生とは、いわば監督者だ。
これ以上、影小路が罪を重ねないための。
「真紅ちゃん」