好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
「大学のことで。実習あるから忙しくなるんだって」
「そういう。……兄貴、本当に医者になる気なのかな?」
架はやや天を仰ぎ気味に言った。
「古人さんはそうされたいみたいだよ。小埜家の黎への方針っていうか。医学部で特待取るくらいの頭だし」
「でもやる気ないよね」
「……うん」
否定出来なかった。
黎は医者になることは否定していないけど、黎がやりたいことを聞いたこともなかった。
……こういうところ、黎とのコミュニケーション不足を感じる。
もっといっぱい黎を知っていたいのに。
そこではっとした。
真紅は、自分のことも話していないことに気づいた。