好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】


苗字は皆『月御門』で、結蓮、牡丹(ぼたん)、華樹(かき)の三人が別邸にいた。
 

結蓮は十四歳で一番年下だが、調理場を取り仕切っている。


「ん? 結蓮?」
 

盆に茶器を載せて来た結蓮が座ったところで、ふっと止まってしまった。


白桜が訝(いぶか)し気に結蓮の顔の前で手を振ると、はっとしてから慌てだした。


「も、申し訳ありませんっ」


「いや、大丈夫か? どこか不調でも?」
 

白桜が心配になって問うと、結蓮は「大丈夫ですっ」と顔を紅くさせた。


「その……白桜様と黒藤様が……お美し過ぎて……」


「……は?」


「へ、変なことを申し上げてすみませんっ。ただ、その……」


「お、おう?」
 

結蓮の言葉の意味がわからない白桜は、続きを待った。

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