好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
「さっきみたいに、何も言わずに、俺のとこで泣くことくらいは規律違反にはならなんじゃないか?」
「え……」
「あんだけ真紅が泣いても、俺は真紅が泣く理由は全然知らない。見当もつかない。
……理由や原因は、絶対聞かない。仕事に関しては、真紅から話してくれること以外は。
泣いても辛い気持ちを総て解消は出来ないだろ? だから、俺に寄りかかって解消するとは考えないで、ただ、俺を泣き場所にしてくれればいい。そう言う風に傍にいる、のはダメか?」
「そ、そんな甘えるみたいなこと――」
「自分の男に甘えないでどうする。でも、区別つけた方がいいのかな。俺は、陰陽師・影小路真紅にとっては、ただの泣き場所。愚痴る場所ではない。……そういう、一緒に居る方法があってもいいじゃないか?」
「………」
自分の手を反転させて、黎の手を握り返した。
「いい、の? どんだけ大泣きしても、黎には何も言えないんだよ?」