好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
「いいよ。真紅に独りで泣かれるよりは全然いい」
空いている手で、真紅の髪をくしゃりと撫でる。
真紅が思わず目をつぶって、次に見た黎はいつもの黎だった。
真紅に優しい、大事にしてくれる恋人。
急に、申し訳なさが募って来た。
「……昨日は、ごめん」
「俺こそ悪かった。真紅が大変なときに、余計な負担かけちまった」
そう言って微笑んでくれる存在のありがたさに、泣きたくなる。やっぱり――
「私、黎といると元気になれるみたい」
自然と黎に向かって微笑むと、まなじりに残った最後の涙が流れ落ちた。
「―――」
「昨日、黎に言っちゃってからね、ママにも架くんにも、元気ないって言われてた。でも、黎が笑ってくれたら元気、出て来た」
「……見つけた」
「? なにを?」
「俺に出来ること」
「――きゃ⁉」
急に、真紅の身体が宙に浮いた。