好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
黎が真紅の脇に手を差しこんで、持ちあげたのだ。
「れ、黎? 重いよ?」
「軽いよ。見つけたんだ、やっと。俺が真紅に出来ること」
「え?」
「真紅を元気に出来る」
「……あ」
「紅亜様にも架にも出来ないことなら、俺に出来ることって誇ってもいいかな? 俺が真紅を元気に出来るって」
元気に出来る。――黎といると、元気になれる。
昨日と今日の、自分の違いよう。
「……うん、黎にしか出来ないかも」
そっと腕を廻して、黎の頭を包み込むように抱きしめた。
「黎が居てくれると、私の隣で笑っていてくれると、私、元気でいられるよ。――何があっても」