好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】


「うん……。私が打ち明ける前から、黒ちゃんは海雨が誰だか知ってたみたいだった。黒ちゃんに隠し事が出来るほどでは、まだ私はないから」
 

海雨が真紅に打ち明けたことも、黒藤には伝えた。


真紅一人では助けられなかった。黒藤が手を貸してくれた恩もある。


「そっか……」


「黒ちゃんには、一族にも流派にも他言無用でって言って置いた。約束は護ってくれる人だと思う」


「うん。わたしもそう思う。……けど」


「? けど?」


「……今まで見て来た小路の子で、一番の問題児だよ、黒藤さん……」


「………否定出来ない」
 

海雨は、始祖当主の記憶を隠そうとはしなかった。


自分から進んで話すこともないけど、隠し立てもしない。


「あ、あとさ、私のとこに紅姫を送ってくれたの、海雨でしょ?」

< 315 / 327 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop