好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】


「……………」


「……………」
 

ベッドに腰かけた海雨は俯いていて、ベッドの足元の方に立った澪も、黙ってしまっていた。
 

澪は、まさか海雨が影小路の始祖当主なんて思ってもいなかった。


始祖の転生についても、存在を知ってはいたけど伝説の生き物みたいな感覚だった。
 

海雨の魂が始祖当主、ということまでしか知らない澪に、真紅は面と向かって訊いて来た。


『海雨が何者でも、告白を取り消す気はないか』と。
 

真っ直ぐだなあ、と感心するしかなかった。
 

そして、どれほど強い心をしているのか。
 

真紅は、影小路真紅は、見る間に強くなっている。
 

過去の記憶が甦り、陰陽師となることをさだめづけられて、今まで生きていた世界とは隔絶した世界で生きることを余儀なくされても、目を逸らそうとしていない。
 

むしろ、黎と生きるために影小路で生きていく道を選んだほどだ。

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