好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
「そうか……無理はするなよ?」
「うん。ありがと」
庭先で二人がほのぼのとしていると、縁側から母の紅亜が姿を見せた。
「あら、黎くんおはよう。今日も来てくれたのね」
真紅が黎と付き合うことに肯定的な母は、笑顔で迎えてくれた。
母は、妹と一緒に住むようになってから、家では着物を着るようになった。
小さな個人病院の看護師の仕事は、そのまま続けている。母は、今日はお休みの日だ。
「おはようございます、紅亜様」
黎が返すと、紅亜は困ったような顔になる。
「黎くん……真紅ちゃんの彼氏にそう呼ばれるのはなんかこそばゆいのだけど……」
紅亜が居心地悪そうに言うと、黎は顔色が悪くなった。