好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】


海雨は、今日も元気そうだった。


病状は一進一退だが、ここ最近――真紅の覚醒があってから――は比較的元気でいられる日が続いていると、元お隣のおねえさんで看護師の舞子が言っていた。
 

紅亜に言われた待ち合わせ場所は駅前だった。


時計台を見上げると、待ち合わせの時間であと少しだ。


「紅緒様とお出かけって……私、粗相しないといいけど……」
 

紅緒は叔母である以前に師匠という認識なので、真紅は少しだけ不安だった。


「あ、もしかしたら黒ちゃんも来るとかあるのかな……」
 

紅緒の息子である黒藤のことを、真紅は『黒ちゃん』と呼ぶようになっていた。


黒藤自身が、『白とそろえて』と言って来たのだ。


「……真紅? だけか?」


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