好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
「……えっ? 黎⁉」
現れたのは黒藤ではなく、呆気に取られた顔の黎だった。
「えっ、どうしたのっ? あ、私はママと紅緒様を待ってるんだけど――」
「……俺も紅亜様を待っている……はずなんだが……」
「え」
「………紅亜様に、今日ここへ来ないと後悔すると言われて」
「ママが呼び出したの? ダブルブッキング?」
黎も紅亜を待っている? 状況がわからずにぽかんとしてしまった真紅を見て、黎はスマートフォンを取り出した。
「ちょっと待ってろ。紅亜様に訊く」
「え、あ、うん?」
黎がこっちへ来いと手招くので、隣に立って真紅もスマートフォンに耳を近づけてみた。