好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】


『はーい。黎くん、真紅ちゃんとは逢えた?』


「逢えたというか、今隣にいますが……真紅がいるとは聞いていませんが」


「私も黎がママと待ち合わせしてるとか聞いてないよ?」
 

思わず真紅も言った。電話の向こうの母があまりにあっけらかんとしているから。


『真紅ちゃん、今日はママも紅緒も合流しないから、二人でお出かけでもしてきたら?』


「「はっ?」」
 

真紅と黎の声が重なると、紅緒はくすくすと笑った。


『ここのところ、家のことでいっぱいだったでしょ。たまの息抜きよ。黎く――


『姉様! なんてことをなさるんですか! 真紅を黎明のと一緒にいさせるなんて』


『恋人同士なんだから一緒にいてもいいでしょー?』


『わたくしは認めていません! まだ審査中です!』


< 43 / 327 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop