好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
『はーい。黎くん、真紅ちゃんとは逢えた?』
「逢えたというか、今隣にいますが……真紅がいるとは聞いていませんが」
「私も黎がママと待ち合わせしてるとか聞いてないよ?」
思わず真紅も言った。電話の向こうの母があまりにあっけらかんとしているから。
『真紅ちゃん、今日はママも紅緒も合流しないから、二人でお出かけでもしてきたら?』
「「はっ?」」
真紅と黎の声が重なると、紅緒はくすくすと笑った。
『ここのところ、家のことでいっぱいだったでしょ。たまの息抜きよ。黎く――
『姉様! なんてことをなさるんですか! 真紅を黎明のと一緒にいさせるなんて』
『恋人同士なんだから一緒にいてもいいでしょー?』
『わたくしは認めていません! まだ審査中です!』