好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
「うん」
黎は一つ肯き、席を立った。
「行こう」
差し出した手。表情はいつも真紅に見せる柔らかいものだけど、その奥の耳だけ、やはり紅い。
(……かわいい……)
真紅はその手を取った。
手を繋ぎ、隣に立つ。
願った場所。
「この先も……」
「? 何か言ったか?」
ぽつりと口からこぼれた言葉に、黎が見て来た。
真紅は「ううん」と首を横に振った。
これは、真紅次第でもあることだ。
言うのは今じゃない気がするから。