好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
「………ほんとう?」
「本当。俺は天命とか寿命とかは全然わからないけど、真紅が哀しいのは嫌だから」
見せる柔らかい笑顔に、真紅は心底今に感謝した。
自分の血が、変わり者でよかった。
せめてこの人と一緒にいられる時間を、少しでもくれてありがとう。
これから先は、二人が決めて行く。
「ありがとう」
真紅は、そっと繋いでいる方の黎の腕にもう片方の腕で抱き付いた。
「――黎?」
後ろからかかった声に、その名前と持つ黎と、反射的に真紅も振り返った。
そこには、驚いた顔の見知らぬ女性がいた。