好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
「真紅……ごめんな」
「え? なにが?」
「いや……せっかくだったのに、こんなことになって……」
「いやあ、なんか慣れて来た。こういういきなりなこと。……それでなんだけど、私、黎と付き合ってるって言っていいの、かな?」
弥生は、黎の彼女と断定して連れてきたようだ。
だが、真紅の立場上簡単に話していいことでもない。
黎の右手が、真紅の左手を包んだ。
「当り前」
「……うん」
どうやら、このだだっ広い屋敷に入るよりほかはないようだ。
ここは鬼人の拠点。
陰陽師である真紅には少し注意が必要な場所だ。