好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
「架くんは、家のためにわたしたち家族を護ろうとしてくれている。黎くんは、真紅ちゃんのために、でしょう? だから、そのうちでいいわ。もっと砕けた呼び方をしてくれたら嬉しいわ」
「姉様~! 今日はこの簪(かんざし)にしましょう! 秋のお色で姉様の雅さが際立ちます――今日も来たのね! 桜城黎!」
紅亜にシスコンを発揮しまくっている紅緒――影小路が先代当主で黒藤の母――は、双児ということもあってか、よくおそろいの物を紅亜と身に着けようと用意している。
母は双児コーデには興味ないようだが、やっと一緒に暮らすことが出来るようになったからか、妹のお願いはほとんど何でも聞いている。
そして何故か、母は認めてくれているのに叔母には大反対されている黎との交際だ。
黎が来るたびに塩をまく勢いだが、母がいつもたしなめてくれている。
そして、どれほど邪険にされても、黎はこの、三人が住む古民家を毎朝訪れる。