好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】


真紅が影小路の人間であること、陰陽師見習いであること……ばれていないようだ。
 

黎と同じ銀色の瞳で言われて、真紅は一瞬ドキッとしてしまった。


この人がいたから、黎はここに……。


「黎が彼女連れて来たって⁉」
 

勢いよく駆けて来たのは、黎とよく似た和服の男性だった。


――桜城が当主、桜城誠だろう。
 

誠は息を弾ませて、黎に向かって破顔した。


「黎、よく連れて来たなあ。えらいえらい」


「いや、お願いですから三人とも落ち着いてください」
 

言ったのは、えらいえらい、と誠が頭を撫でた架だった。


実は誠が来る前に架も来ていたのだけど、弥生に連行された状況を見てとって意気消沈していたのだ。

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