好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
「はっ、はじめまして。さく――影小路真紅といいます。黎さんには、いつも迷惑かけてばかりなんですが、とても――優しくていらっしゃるので、私の母も、黎さんのこと気に入ってるんです」
真紅がしゃちほこばりながらもがんばった挨拶をすると、誠は緊張した真紅に穏やかに話しかけた。
「おや、そちらの親御さんとは逢っているのか。まこさん――ん? そういえば先頃本家に入られたお嬢様もそんなお名前だったような……?」
う。まだ気づかれていない……。ど、どういう風に話そう……。
「誠さん、それ、真紅のことです」
「……は?」
誠はやはり笑顔で首を傾げた。
「紅緒様の姪で、黒藤の従妹になるのが真紅です。少し前までは『桜木』って苗字でした」