好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
「し、しかし真紅嬢――御身(おんみ)は影小路が始祖の転生と伺っている。
私も総ては存じ上げないが、転生とはほとんどが当主となってこられたのだろう?
黎の――二人の話を聞いていると、将来も望んでいるように聞こえる。
まさか、黎を影小路本家に入れるつもりでおられるか?」
誠は心底心配し、かつ戸惑っているようだ。
「あの……誠さん? で、いいでしょうか……。
私は、生まれはそうですが、まだまだ見習いもいいところです。当主を継ぐだのなんて話はありません。
それに、影小路の正統後継者は黒ちゃ――黒藤さんです。
黒藤さんが、どれほど跳ね除けていたとしても、その地位は揺るぎません。
ですから、その……結婚、とかしても、大きな問題にはなりません。
……現在、黎は鬼性をなくして普通の人と変わりありません。
小路流が、流派の中だけで縁組をしてきたことがないのはご承知と思います。
それから、……普段通りに喋っていただけないでしょうか。そのような話し方に慣れてませんので……」
――現在、御門流と小路流が陰陽道の二代流派だ。