お願い!嫌にならないで



「こちらのコピー機なんですが、こちら側2台のパソコンだけが、印刷することが出来ないのですが」

「……それでは、一度、設定を確認してみますので、少しお時間いただけますか」



一人で外に出て、初めての対応は部長から手渡されたマニュアルに載っていた、初歩的なものだった。

俺としては一安心、というところだ。

正直、田中さんのことなんかよりも、本格的な初仕事を全うすることが出来るのか、それだけを気に掛けていた。

俺は、さっそく問題のパソコンの画面を覗き込む。

覚えたての知識を、どうにか引っ張り出す。

ここを見たら、次はここ。

このチェックを外し、プロパティを確認する。

その他、諸々を不慣れな手つきで、一つ一つ思い出しながら弄っていく。



「よし!設定を変更してみました。試しに、何か印刷してみてください」



はい、と事務の女性が、パソコンに触れた。

ちゃんと解決しているか、緊張して待つ。

そして、遠くからコピー機が、動き出す音が聞こえた。

思わず、安堵の溜め息が漏れる。
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