お願い!嫌にならないで
「大丈夫そうです。ありがとうございます」
「それは良かったです。今回は設定が、オフラインになっておりましたので、その変更とPC内の設定の諸々の変更をさせていただきました」
俺の初心者丸出しの説明に、女性はうんうんと頷きながら聞いてくれる。
そして、聞いてもらっている最中にも、気になっていたことがあった。
「あの、ちなみに田中様は」
「はい。少々お待ちください」
そう言って、女性はデスクで作業をしていた田中さんを呼びに行く。
呼ばれた奴は、気怠げにこちらへ向かってくる。
相手が水野さんではないからと言って、それ程あからさまな態度をとらなくても良いだろうに。
「終わりました?」
「はい。処置としましては──
「あ、説明は結構です」
「え」
「大体は、分かりますので」
では、と去ろうとする田中さん。
思わず、俺は声を発していた。
「お、お待ちください」
俺の声に、奴は意外にも立ち止まる。
そして、ゆっくりと振り返った。
「はい?」
奴は、眉をひそめた。
後先考えずに、呼び止めてしまったものだから、実は困っていた。