お願い!嫌にならないで
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定時ギリギリの頃に、ようやく帰社した。
事務所に戻ると、今日のことを部長へ報告に向かった。
「部長、戻りが遅くなりました。申し訳ありません」
「遅くまでご苦労だったな。で、どうだった。例の件は、問題なく解決したか?」
俺の顔をしっかりと見て、様子を伺っている。
どのような問題であったのか、それをどう処理したかの諸々を伝えた。
部長は、一度頷く。
「作業、対応については、それで十分だろう。最低限のことは出来たな」
「はい」
「次も頼むぞ」
「ありがとうございます!」
「で、もう一つの心配事についてだが……」
部長が突然、小声になる。
内容を察し、俺の方からも部長との距離を詰めた。
「担当者とは、やっていけそうか」
案の定、この話題だ。
「良い関係は築けそうか」
俺が言いにくそうにしていれば、部長は何度も問い質してくる。