お願い!嫌にならないで
「何だ。何か問題があるのか?」
「あの、はい……でも、仕様もないことですので」
俺の言葉に、部長が怪訝そうな面持ちで、こちらを見た。
「どんな些細なことでも、必ず報告しろ。これは、事態が大きくなる前に対策するためだ」
「部長……」
「辻にとっては仕様もないことでも、我々にとっては、そうじゃないかもしれない。言ってみろ」
「はい……」
部長の温かい言葉を信じて、打ち明ける。
俺が田中さんと会話した、最後の台詞を思い出す。
ああ、もう!思い出すだけで、ムカムカしてきた。
「部長……正直なところ、あの担当者の方とは、上手く関係を築けそうにありません。
向こうにも『あんた、いけ好かないわ』とはっきり言われてしまいました!申し訳ありません!」
「辻、声がデカい」
「す、すみません!思い出したら、また腹が立ってしまって……!」
「その声もデカい」
「すみません。つい」
「もういい。クールダウンしてこい。これについては、また明日だ」
「……はい」
小岐須部長に言われた通り、帰る前に休憩スペースで、頭を冷やしていくことにした。