お願い!嫌にならないで
今はこれ以上、俺が何を言っても、墓穴を掘るだけだと分かっている。
だから、俺も水野さんの次の反応を、静かに窺うしかない。
しばらくして、彼女が口を開いた。
「ご、ごめんなさい。辻さんがあまりにもストレート過ぎて、驚いて……」
「あ、あはは、俺、オブラートに包むのが、とにかく苦手なもんで」
「そこが、辻さんの良いところです」
「ありがとうございます。褒められてるんですかね?」
「もちろん!」
水野さんが、慌てた様子で断言する。
別に困らせたい訳ではないのだが、やはりつい、微笑ましく思えてしまう。
いや、そんなことよりも。
「ちなみに……俺の言いたいこと、水野さんに伝わってます?」
「何が、ですか?」
思わず、俺は項垂れる。
「遠回りした言い方をして、すみませんでした。はっきり言います」
俺は、覚悟を決めた。
すると、水野さんもつられてか、身体が強張る。
短く息を吸い、俺は手汗たっぷりの拳をぎゅっと握った。