お願い!嫌にならないで
「俺、水野さんのこと、かなり好きです」
俺が言い終わったと同時くらいに、水野さんがひゅっと息を吸い込んだ音が聞こえた。
また彼女が動かなくなってしまう前に、声をかけ続ける。
「この間の返事を今更ながら、させてもらいました」
「この間の……?」
「はい。この間の返事です。何となくぎこちなくなったって言って、会議室で、二人で話をしたとき」
そう俺が答えると、水野さんの顔は、瞬く間に赤くなった。
おまけに、口をパクパクさせている。
まだ見慣れない、水野さんのその表情を見ていたら、思わず、吹き出してしまった。
「今の水野さん、あのときの俺と同じだ」
「同じ……?」
「そう、俺も同じ。水野さんが俺のこと『好きかもしれない』って伝えてくれましたよね。そのとき、頭が一瞬で、真っ白になってしまって。そのくらい、嬉しくて。直ぐに返事が出来ず、すみませんでした」
「え……」
水野さんは、口元を手で押さえて、大層驚いていた。
おうむ返ししてくるという時点で、それがよく分かる。
そして、次に声を発したときには、声がかなり震えていた。
「喜んで……くださっていたんですか……?引いていたんじゃ……」
「え、もしかして、水野さん、今、引いてますか?」
「い、いえ!とんでもないです!」
「良かった……俺も嬉しすぎて、天使が3人くらい舞い降りてきて、頭の上で舞い踊ってましたから」