お願い!嫌にならないで
「辻さん、本当に幸せそうに、ニヤけてくれますね」
「や、これは無意識に……」
「無意識だから、凄いんです。水野さんのお相手が辻さんなら、かなり安心できます」
もう弄られているなんて、思わない。
ここまで言ってもらえたなら、報告して正解だった。
しかし、これで水野さんと俺以外の人に打ち明けてしまった。
水野さんとの約束は、守らなければならない。
中谷さんに話してしまった時点で、約束を破ってしまっているような気もするが、これはあくまでも報告だ。
ニヤける感情を何とか収め、 中谷さんを見る。
「この事は、誰にも言わないでください。まだ」
「まだ?」
「はい。今、知っているのは、水野さんと俺、そして中谷さんの3人だけです」
「何で隠すんですか? 喜ばしいことなのに」
「水野さんとの約束です」
俺がそう言うと、中谷さんは一度驚いた。
しかし、直ぐに「そうですか」と呟き、納得した様で何度か頷く。