お願い!嫌にならないで
Q2.彼のお腹が真っ黒なのは、なぜですか。
歓迎会の翌日。
相変わらず、仲の良い賑やかなオフィス内のデスクに、水野さんの姿はなかった。
「小岐須部長。今日、水野さんは……」
「今日は休みだ」
「体調が優れない、とかですか」
「いや。代休だ。この前の休みに、出勤してくれていたからな」
「ああ…そういうことなんですね」
安堵して、息を吐き出す。
よかった。
昨夜の歓迎会でしつこく水野さんに付きまとってしまったことで「こいつ、初対面のくせに馴れ馴れしいな」などと嫌がられていないか、少し心配だったのだ。
今日の欠席は、俺のせいではないらしい。
そういうことなら、よかった、よかった。
「えっと……それでは、今日は俺、何をすれば……」
「山本についてもらおう」
すると、部長はある青年の方を向き、指名する。
「あきちゃん」こと中谷さんの、彼氏さん、山本くんだ。
程よい声量で返事をしている。
俺が山本くんの方に注目していると、彼がこちらに顔を向けた。
「見積書だけ作らせてください。したら、直ぐ行きましょう」
「山本さんのペースで構わないっすよ」
俺が気を遣ったにも関わらず、山本くんは数回キーボードを叩くと、コピー機へ。
席に戻った山本くんは、鞄を持ち上げる。
「さ、行きますかね」
「お…は、はい!お願いします」
俺も慌てて、荷物をまとめた。