お願い!嫌にならないで



「幸せ者だなぁ……俺」



胸がいっぱいで、思わず溜め息が溢れる。

嬉しさに捩る俺の胸を落ち着けたくて、胸を手で抑え込む。

すると、中谷さんは笑った。



「そうやって、ストレートに気持ちを教えてくれる人って、良いですよね」

「え?」

「バカ正直ですもんね」

「ちょっと人のこと、バカって」

「バカ真面目」

「あんまりバカバカ言わないでくださいよ」

「バカって、褒めてるんですよ」

「いや、そんなわけないでしょ!」



言い合い、じゃれ合っていると、後ろに気配がした。



「ちょっと、ちょっと……最近、2人、仲良すぎじゃないすかぁ?」



突然、ある人物に肩を組まれる。

誰であるかということは、とっくに分かっていた。
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