お願い!嫌にならないで
Q10.もしかして、俺は××なのでしょうか。
1人で外回りをすることにも、そろそろ慣れてきた。
昼食を営業車の中で終え、昼一に約束している取引先へ向かっている最中だった。
その取引先とは、ストーカー野郎が居る、例のあそこだ。
何やら、また会社の方に問い合わせがあったらしい。
担当を自分から名乗り出てしまったのだから、俺が行く他ないのだが。
「たくっ。俺には『来てもらわなくて結構』なんて言い方したくせに……」
1人の車内では、一人言も溢れる。
奴は未だに、水野さんと会う機会を伺っているのか?
可哀想だが、不毛だとしか思えない。
水野さんの、あの反応を見たら、誰だってそう思うはずだ。
奴の顔が、頭に浮かぶ。
『あんた、いけ好かないわ──』
全く、腹立たしいったらない。
気持ちも不安定になってくる。
憂鬱だ。
しかし、これは自ら望んだこと。
水野さんを守りたいが為に、俺が自ら望んだことなのだから、しっかりしなければ。
それに今週の日曜日には、水野さんとのデートを控えている。
たった今は憂鬱だが、後にこれでもかという楽しみが控えていると思うと、多少の辛いことくらいは耐えられる。
勢いよく、深呼吸をした。
「よし……! 行くぞ、俺!」