お願い!嫌にならないで
しかし、山本くんはそれだけでは懲りないといった風で、さらに追い討ちをかけてくる。
もう駄目だ。
躱しきれない。
「あーあ、そんなに顔赤くしちゃって。もう認めたらいいんすよ。強がらずに」
「………………そうっすよ。だって、美人じゃないすか、水野さんって。しかも、その上、上品で優しいとか……」
「そう言うことは、本人に言ってあげないと。喜びますよ、多分。水野さん、あの人、自分に自信が無い人ですから」
「いやいや!仮にそんなこと言ったら、絶対に引かれますからね!だって、出会って……まだ2日目っすよ……絶対、俺、気持ち悪ぃ……」
「そうっすね。ストーカーと、ほとんど変わらない」
ストーカー、一番俺が気にしていることを…!
彼の腹の中は真っ黒に違いない。
彼は、俺にとって辛辣な台詞しか吐かない。
一体、山本くんがどんな顔をして、俺にそんなことを言っているのか、改めて顔を見てやる。
「何すか」
予想通りに、黒く微笑んでいた。
くそ。また泣きそうだよ。
俺が軽く睨んでいると、山本くんは黒い表情を止めた。
「でも、辻さんは、アイツとは違うんで……大丈夫じゃないっすかね?」
アイツ……例のストーカー野郎のことか。
大丈夫なわけあるか!
そう言い返してやりたいところだったが、山本くんの表情を見ると、そういう雰囲気ではなさそうだった。