お願い!嫌にならないで
「水野さんこそ、かなり印象変わりますね。スカートふわふわしてるの、似合い過ぎて、可愛い過ぎます……」
俺がそう言えば、水野さんは真っ赤な顔で、どぎまぎし始める。
「ありがとうございます」と言ったようだが、語尾が聞き取れなかった。
そんな彼女を愛しく思う。
本当にそう思ったから、言っただけ。
淡いブルーのふんわりとした膝丈スカートが、優しい風に揺れている。
「じゃあ、行きますか? 美味しいものって、どこに連れてってもらえるんです?」
「お楽しみです」
嬉しそうに表情を明るくする水野さんに、俺もワクワクしてくる。
そうして、歩き出したが、直ぐに違和感を感じた。
彼女と俺の距離感だ。
あれから水野さんは、俺の隣に並んで歩いてくれるようになった。
でも、俺と水野さんの間には、更に人が2人も入れてしまいそうな空間がある。
確かに俺も緊張で、どうにかなりそうだから、気持ちは分からないでもないけど!
俺たちの間を他のカップルがすり抜けていったり、自転車が通り過ぎたりしていく。
さすがに、これは可笑しい。
それに、せっかく2人きりでデートしているのに、あまりにも勿体無い。
俺は、一気に距離を詰めた。
すると、水野さんは思いっきり驚いている。
「僭越ながら、手を繋がせてもらいたいのですが、よろしいでしょうか」