お願い!嫌にならないで
「こちら、ぎゅう牛ジューシーハンバーグ300gでございます。お熱いので、気をつけてお召し上がりください」
「わぁっ! ありがとうございます」
そうそう。本当、こういうところだってば、水野さん。
鉄板の上にて、ジュウジュウと音を立てながら肉汁が滲んでいる、アツアツの大きな大きなハンバーグが、テーブルの上に二人前並ぶ。
まるで、生きているかの様なハンバーグを目の前にして、彼女の瞳は輝いている。
「これ! これを食べてみたかったんです」
「……にしても、これ大きすぎません? 水野さん、全部食べれますか?」
俺の心配も余所に、ニコニコしながら合掌をしようとしている。
「大丈夫です。全部、入ります。せっかく辻さんと来れたんだから、たんと食べなきゃ。辻さんは? 私が無理矢理、勧めちゃいましたが、良かったですか……?」
水野さんは手を合わせたまま、申し訳無さそうにする。
水野さんに、そんな顔をされると困る。
「その心配なら無用です! ハンバーグめちゃくちゃ好きですし。普段、これくらいの量は、普通に食べますから」
「良かった」
そう言って、嬉しそうにしている。
ああ、どうしよう。
本当に楽しい。
このハンバーグをずっと楽しみに待ち侘びていた水野さんと、巨大な質の良い肉を目の前に腹が減って仕様もない俺。
合図をした訳でもないのに、2人同時に口へと運ぶ。
しばらく2人とも、熱さと格闘する。
しかし、これは凄い。
肉汁が溢れんばかりに、ジュワァっと!
「美味しい!」
「旨い!」
思わず、声が揃った。
それに、つい2人とも笑ってしまった。