お願い!嫌にならないで
しばらく歩いていて、ふと思った。
それは、俺たちが歩いている足元の色鮮やかな3色からなるタイルの歩道に、目がいった時だった。
何気無く、女性らしい靴を履いている、水野さんの足元を見た。
「水野さん。これから海行きますけど、そういえば、ヒールでしたね……」
「へ? ああ! 心配しないでください。浜辺では裸足になろうと思っているので」
「ええ……でも、怪我させてしまったら、申し訳無いので……」
水野さんは明るく言ってくれるものの、振り回してしまっている俺としては心配だ。
歩いている途中、いろんな店が建ち並ぶ通りのその中にあった、1件の靴屋さんに目がいった。
「水野さん、少し寄り道しませんか」
「いいですけど」
頭上に、はてなマークを浮かべる彼女の手を引いて、店内へと進む。
「あった、あった」
あるコーナーの前で立ち止まると、水野さんは首を傾げた。
「サンダル……を買うんですか?」
「はい。よく考えたら、俺もお気に入りの靴、履いてきちゃってるので、濡らしたくなくて。で、良かったらなんですけど……お揃いにしませんか」
「え」