お願い！嫌にならないで

「え……でも、今は中谷さんと……」

「今はもちろん、何があっても、あき一筋っす」

「あ…ああ、良かった！俺、修羅場に首突っ込んじまったかと思って」

「大丈夫っす。水野さんのこと、今は先輩として、好きで尊敬してますんで。辻さんは、何の心配も要らないっすよ。好きにアタックしたら良いんじゃないすかね」

「あ、あああああありがとう…！」

「動揺しすぎっすよ、辻さん。本当に気遣ってもらわなくていいんで」



言葉がきつい奴だと思っていたが、案外、良い奴だ！山本くん！

やっぱり俺たち、仲良くなれそうな気がするぜ！

小さくガッツポーズをする。

すると、そのガッツポーズを知ってか知らずか、山本くんが唐突に尋ねてきた。



「辻さんって……女の子と付き合ったことあります？」

「は……」

「え、いや、だから、彼女居たことあります？」

「聞こえてるから！いやいや！居たことくらいありますよ！失礼な！」



俺が勢いよく答えれば、山本くんは嫌味っぽく笑んだ。



「ふーん。だって、なんか辻さんって、純粋すぎるんで」



山本くんはまた、含み笑いをする。

俺たち、仲良くなれるん…だよな？