お願い!嫌にならないで
「な、ちょ、ゆ、弛んでなんか!もともとこういう顔面なんです!」
「そんなわけないっしょ。なかなかみっともない顔してますよ」
「み、みっともないだと…?!」
「ちょ、ちょっと、山本くん…!」
俺たちの言い合いの度合いが過ぎていると感じたのか、水野さんが間に入った。
「本当のことだと思いますけどー。ね、水野さん」
「だから!辻さんに失礼でしょ」
そして、何故か水野さんが「すみません」と謝ってくれる。
だが、俺の顔が緩んでいたのは、事実だ。
なんたって、張本人の俺がが気付いているのだから。
「やっぱり、ちょっと弛んでたかもしれないっす。もっと気合入れます!」
俺は宣言をして、両眉毛と両目の距離を縮めてみる。
これで少しは、男前になっただろうか。
その顔のままで水野さんの方へ顔を向ける。
「さ、水野さん。俺はいつでも準備できてますよ!待ってますから!」
「あ、すみません。急ぎます」
「急がなくていいです。待ってますから!」
少し慌てはじめた水野さんは、一度パソコンに視線を落としたが、またパソコンから覗くようにこちらを見てきた。
可愛い。
そして、眉毛と両目を寄せたままの俺の顔をじっと見つめてくる。
や、やめてくれ!
思わず、緊張してしまうじゃないか!